上級クイズ解答



1.うちこみ、と読みます。経糸若しくは緯糸の密度を言います。打込100本というと曲尺1寸幅に100本糸を
 使用しているということ。120本だと120本糸を使用しているということです。
 打込数が多くなるほど、生地は丈夫になります。


2.かえしぞめ、と読みます。(染色用語)防染した場所を、更に違う色に染め変えることを言います。
 この過程で、反物はいくつもの違う色に染まっていくのです。どんどん返していけば、それだけ色数が多くなる。
 考えてみれば、一番多く使用されている技法かもしれません。(当たり前か)
 ただ、用語としては、一般の人には聞き慣れないかもしれません。


3.いざりばた、と読みます。手織機の一つで、日本に昔から有る原始的織機です。経糸を織機に固定せずに
 織手の腰につけて、緯糸を打ち込みながら締める織り方をするのです。
 結城紬などは現在でもこの方法を採っていますが、なんせ非効率で仕方がないでしょう。
 少なくとも、大量生産はとても無理です。タオルの街今治に住む私には、(機械のスピードが体感出来ているから)
 遅く感じられて仕方ない。ただ、手作りの妙味は出るでしょう。


4.壁糸(かべいと)とは、細い生糸(14中<デニール>、普通の生糸は21中<デニール>)を2本ないし4本引き揃え
 1400〜2000回の撚りをかけて、これに他の生糸1本を撚らずにあわせて下撚りと反対の方向に930〜1600回転くらいの
 上撚りをかけた糸を言います。この壁糸を緯糸に使い織り込むと、頑丈な生地が出来ます。当店で使用している
 八掛は(トキワ商事製)この生地で出来ており、通常の八掛と違い頑強です。(破れにくい)
 又、経糸も太めにすると経、緯ともに丈夫な糸ということになり、これで生地を作り横にウネリを作ると
 塩瀬地になります。


5.くくりぞめ、と読みます。糸又は織物の一部分を麻糸や綿糸、生糸で堅くくくって、そこだけ染まらないようにし
 その上で全体を染めると、絣糸が出来ます。それを使用して反物を織ると絣や大島になります。
 織物の生地でこれをすると、絞りが出来ます。
 なーんだ、と思ったでしょう。そうなんです。ただそれだけのことなんです。
 でも、返染同様、用語を知らなかった人は多いはずです。


6.ときわおび、と読みます。男物の角帯の両端に芯を入れずに薄地で結びやすくしたものです。
 女性用の伊達締がこんな感じですが、芯が入ってないので結びやすいということですかね。
 男の人は殆ど知りません。


7.さくさんし、と読みます。柞蚕(野生の蚕)の作った繭から取った糸のことで、普通の糸と違い色に
 染まらないのが特徴です。山繭糸、などという呼び名がついているものもあります。
  (ただ、これは最近の技術をもってすれば簡単に染まりますが・・・・・・。染まらない生糸はありませんねえ。)
 昔、じゅらくの”帝王紫”という袋帯が一世を風靡したことがありましたが、あの中に使用されていた糸が
 この類の糸です。もっともじゅらくは無くなりましたが。(社名が変わった)


8.リップルとは、織物の表面に後加工により細かい凹凸を表したものです。この素材はよく子供用の浴衣などに
 使用されています。汗を吸収しやすいので当店でもよく売れましたが、生地自体は本当に特殊なものです。


9.よこそう、と読みます。緯糸全てを絣糸にして織り上げるので、かなり複雑な織物が出来ます。
 大島紬などに緯総柄がありますが、昔に比べると生産反数は激減しています。
 緯総絣がもともとの名称ですが、大島などには緯総と言われるようになりました。


10.ぬいとり、と読みます。織物の模様を作る場合、絵緯(柄を表す為に地の糸と別に織り込む緯糸)を幅全体に
 通さず、必要部分だけを通して織る織り方を言います。
 一見、刺繍したような感じの柄が出来ます。この方法を使ってできたきものは多いですが、特に縫取の白生地や
 色留袖がよく作られています。価格も手ごろなので、好きな人には案外いいかも・・・・・。