今治市の財政状況について
(平成20年11月現在・広報より抜粋)

この財政状況を見て、財政の専門家ならどう解釈するか?ということです。
公認会計士・税理士・・・・・いずれでも構いませんが、企業会計を司る立場の人間ならどう判断するか?
或いは、他の市町村の財政責任者ならどう見るか?
いろいろ意見はあるでしょうが、だれでも解る意見として、幾つか論点を上げます。

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公債費・・・・・とは、文字どうり、過去の借入金の返済にかかる費用です。
1年間に100億円ずつ返済したとしても、1500億円近い借入金の完全な返済には
15年かかります。現在のような不景気な状態が続けば、税収は更に落ち込みますので、
20年はかかるかも知れません。
又、歳入の一部は”市債”です。
これもいずれは返済しなければなりません。


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財産の中にある”土地”や”建物”は、名目は資産ですが、事実上は”あって無い資産”です。
売却すれば資金にはなりますが、売却した瞬間、市の職員は働き場所を失います。
もちろん、市の所有している不動産なら資産ですが、市役所や公民館など
通常は売却出来ないものも含まれています。
(もっとも、役所や公民館などの不動産を売却して、職員が自宅で仕事をするなら別ですが・・・・・。)

それから、”立木”とは、文字どうり”立っている木”のことです。
木は売却出来れば資金にはなりますが、売却できなければただの”木”です。
この前の笠松山の火事ではありませんが、燃えてしまえば灰になります。
売却の計画はあるのか?あるとしたら幾らくらいで売れそうなのか??
そういうことも含めて、書き記すべきだと思います。
(ちなみに、或る会計士は、立木を資産に計上するなんて聞いたことがない・・・と言っていました・・・・・。)

いずれにせよ、今治市の現況は、土地や建物、立木などのいわゆる”固定資産”ばかりで、
現金や積立預金などの”流動資産”・・・つまり、キャッシュ・フローはほとんど無いということです。
固定資産が経費を要求するのに対して、金利を生み出すキャッシュ・フローはありません。
この状態では、現在の建物や道路もやがては維持出来なくなるでしょう。
国土交通省の言う、”コンパクトシティー”が何故重要か???お解り頂けると思います。
(新都市を開発している余裕は、実は全く無いはずなのですが・・・・・。)

最後になりましたが、これからは人口がみるみる減少していきます。
不動産は、人口が減れば必要性が無くなり、その本来の”価値”を失います。
従って、”建物を建てる”なんてのは”論外”で、借りてすませばいいことになります。
道路も、新しく造るのは”論外”で、”今ある道路”の傍で何かをすればいいことになります。
少なくとも、この数字を見る限りは、今しなければならないことは、”次期今治市長を誰にすべきか?”とか
”政権交代で今治はどう変わるか?”というような問題ではなく、誰でもいいから頭を据えた後、

---市の借入金を返済することに全精力を傾けること---

に尽きると思います。
派閥抗争をしているときではありません。
そうしている内にも、時間は、時間だけは、刻々と過ぎていっているのですから。
残されたタイム・リミットはあと10年。
それまでにメドをつけなければ、今治は破綻します。
最低条件として、10年後には借入金を現在のままの状態(1500億円程度)で、
市所有の固定資産額(評価額ではなく、面積や容積という名の実体所有物)を現在の3倍にするか、若しくは借入金を1/3にする。
(起爆装置のスイッチは、既にONになっています。止めることは出来ません・・・・・。)